知識蓄積ノート【投資・FIRE】

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その会社に就職するとして、私は情熱を持って働いている自分をイメージできるだろうか?

 

確か、就職担当の教授から私の携帯電話にかかってきたのは、その某メーカーの企業訪問のすぐあとだったように思う。正直もう20年近く前の話なので正確な時系列は覚えていない。ただ、ちょうどキャンパスから出て駅に向かって歩いている道の途中で私の携帯に電話がかかってきた。
 
 
見知らぬ番号からの電話に訝りながら通話ボタンを押す。
 
「君が推薦を出していた〇〇から採用の連絡が来たよ」
 
正直どのような反応をすればいいのか分からなかった。
そのつい先日に某メーカーの企業訪問をし、その職場責任者からの人事担当からも好印象のフィードバックを受けたばかりだった。そのメーカーに就職して製品開発をする自分の姿すら、すでに思い描いていたかもしれない。
 
「分かりました。連絡ありがとうございます」
 
そのような言葉を、半分上の空で答えていた。
 
「どうした、合格したのに嬉しくないのかね?」
「いえ、そんなことは無いです」
 
私はそんな言葉を返して「失礼します」と電話を切った。
 
 
駅に向かう道を再び歩き出す。
私の中にはいろいろな思いが渦巻いていた。
確かに某メーカーの企業訪問は好感触だったのだけど、でもこれから応募し就職試験、就職面談をしたからといって合格できるとは限らない。その当時はまだ就職氷河期の真っただ中で、それまで応募した企業はすべて途中の選考で落ちていたのも事実だった。だからこそ「これで、就職先は決まった・・・」とほっとする気持ちもあれば、どこか漠然とした不安を感じているのも確かだった。
 
 
「その会社に就職するとして、私は情熱を持って働いている自分をイメージできるだろうか?」
 
確かにメーカーという希望には沿っていたのだけど、その当時の私はそのメーカーの製品を具体的にイメージすることができなかった。そのメーカーは企業向けの製品を主力としていた。
 
 
それに引き換え、企業訪問をした某メーカーは実際に職場の居室を見学させてもらったし、主力の製品は一般コンシューマ向けとあって私にも馴染みがあったし、電器店の店頭にも普通に並んでいるようなものだった。
 
ただし、大学推薦で応募をしている中で辞退するという選択肢は無かった。
少なくともその選択肢を選ぶほどの勇気も度胸も情熱も、その当時の私には無かった。
 

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