知識蓄積ノート【投資・FIRE】

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「応募していただければ、ぜひ、〇〇事業部で採用したい」という言葉

 
学部推薦で申し込んだメーカーの就職面接が終わった後、別のメーカの企業訪問をした。
 
学部推薦で申し込んだとしても、定員の関係で内定がもらえるとは限らなかった。落ちることも十分に想定できたので、並行して別のメーカーにも色々と応募をかけていたのた。そのメーカーは日本を代表するようなメーカーで、しかも一般家庭で使用されるような電気機器を多く作っていた。私はメーカーの開発職をぼんやりと目指していたのだけど、その中でも一般ユーザ向けの製品を作りたかった。そういう意味でも、もともと学部推薦で申し込んだメーカー(そのメーカーは企業向け製品が大部分を占めている)よりは、断然私の指向に即していた。
 
 
そのメーカーの本社は大坂にあった。
当然ほとんどの開発拠点も大阪にあり、大阪への企業訪問のために関東から新幹線で向かう。特に泊りの予定は無く、企業訪問が終わったら日帰りで関東に帰る予定だった。
 
正直もう17年も前の話なので詳細までは覚えていない。確か、集合場所は本社だった。私以外の参加者は一人しかいなく、私とそのもう一人でまずは人事の人と簡単な面談をする。そして車に乗って、実際の開発拠点に向かった。そこで初めて実際の開発現場の居室を見た。従業員は皆同じ作業服を着て、ふと覗き込んだPCの画面にはCADのモデルが映っていた。他にも見学したのかもしれないけど、その居室の光景のイメージが強かった。
 
実際の現場の見学が終わると、また私たちは車に乗せられ本社に戻った。
次は、実際の開発現場の責任者の人たちとの本格的な面談が始まった。単なる企業訪問という訳ではなく、そこでは事前の就職面談も兼ねるようなものだったのだ。そのような形態はよくあるものだったので、私もそれなりに心づもりをして望んでいた。そこでどのような会話が交わされたのか。それについてもあまり詳細は覚えていない。ただ、「少なくとも、学部推薦で申し込んだメーカーよりも、こっちの方が面白そう」という思いは確かに私の中にあって、私にとっては珍しく熱く語ったように感じる。
 
その面談が終わると解散になり、そのまま駅に向かった。あたりはすっかり暗くなっていた。
新幹線に乗り込み、窓の外の真っ暗い世界をのぞき込みながら、先ほどの面談の光景を思い出していた。私の中ではいつになく手ごたえを感じていた。
「一般ユーザが使用するような携帯機器を開発できるのなら、少しはプロジェクトXで見たような経験はできるのだろうか」
疲労でぐったりとした頭の中で、そのようなことをぼんやり考えていた。
 
 
その時の面談の結果は、後日ホームページの専用ページで確認できるようになってた。
面談の一週間後くらいだろうか、面談結果がアップされていた。そこには次ようなコメントが記載されていた・
「応募していただければ、ぜひ、〇〇事業部で採用したい」
 
 
今まで就職活動に何の希望も見いだせなかったけど、その一文は私にこれからの人生についてかすかな希望を抱かせるには十分だった。
 
 

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