相続
私の祖父が亡くなったのは、私が大学院を卒業する間際だった。
祖父の家はもともと田舎の百姓をやっていて、いくつか土地を持っていた。その土地などの財産を父は相続することになるのだけど、その際は色々と苦労したようだ。貸していた土地からの立ち退きを求めた父の義理の叔父との裁判や、祖父が一戸建てを建てて貸していた人に立ち退いてもらったりしたと聞いた。
私もいつか相続に直面することになるのは目に見えていた。
そのための準備は今からでも知識蓄積はしていくべきだし、今から事前に準備できることは始めるべき。
そもそも相続とはどのような仕組みになっているのか。
相続はいつ発生する?
相続とは、人が死亡したときに財産が継承されることです。なお、死亡したときだけでなく、一定期間生死が不明で失踪したと公的機関に認定された場合も相続の対象になります。
ある家庭において夫が亡くなった場合、妻や子供に夫の財産が継承されます。このとき、死亡した夫を被相続人、財産を継承できる妻や子供を相続人と言います。民法で定められた相続人を法定相続人と言い、被相続人の配偶者は常に法定相続人となる決まりです(正式な婚姻関係がある場合のみ)。
配偶者以外の法定相続人と相続される財産の割合(法定相続分)は、以下の相続順位に従って決まる仕組みです。
もし第1順位に相当する人がいない場合は第2順位の人に、第2順位にあたる人もいない場合は第3順位の人に相続されます。なお、相続の開始時に被相続人の子供が死亡していた場合は、子供の子供(孫)が代襲相続人となります(法定相続分は子と同じ割合である1/2)。
また、遺言によって特定の人に財産を移転させることが可能です。これを遺贈と言い、相続よりも優先されることが法律で規定されています。
相続税の計算方法
では、相続税はどのように計算されるのだろうか?
基礎控除
相続資産から、まず基礎控除分を資産総額から差し引くことができる。
私には、私を含めて兄弟は4人いるので法定相続人は、妻+子供4人の5人になる。
つまり3000万+3000万(600万×5人)が基礎控除額になる。
法定相続人が5人いる場合は、6000万円以上の資産を相続する場合に相続税が発生するということか。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続する場合は、「配偶者の税額軽減」が適用される。
配偶者の税額軽減
配偶者が相続した財産(課税価格)が、課税価格総額の法定相続分もしくは1億6,000万円のうち多いほうの金額以下であれば、妻の相続税額がまるまる軽減されて0円となり、相続税を負担する必要はありません。配偶者の相続税は「相続財産が法定相続分以下、あるいは1億6,000万円以下なら非課税」と覚えておけばいいでしょう。
父が亡くなった場合、配偶者(母)の法定相続分は1/2になる。
つまり、相続財産が財産の1/2以下、あるいは1億6000万円以下なら非課税。
相続税率
相続税率とその控除額は取得金額に応じて変わってくる。
取得金額が大きいほど税率が高くなる累進課税になる。
「配偶者の税額軽減」はメリットはあるのか?
配偶者の税額軽減を使用すれば、1億6000万円以下の相続であれば非課税になる。
一見すると非常にメリットがあるように見えるけど、でもその配偶者が亡くなった場合は結局は次の相続で相続税が発生するということ。しかもその際に再び相続の手続きが必要になってしまう。トータルの税額でメリットがあるのなら有効なのかもしれないけど、どうなのだろうか。
簡単に試算してみる。
試算①:1段階相続
1回目相続
相続財産:2億円
(基礎控除6000万円差し引き後)
・父:死亡
・母:相続なし
・子供4人
・A:下記以外の資産を相続
・B、C、D:それぞれ500万円
相続税額
・A:18,500万円×40%-1,700万円=5,700万円
・B~D(1000万円以下):0円
相続税総額:5,700万円
試算②:2段階相続
1回目相続
相続財産:2億円
(基礎控除6000万円差し引き後)
・父:死亡
・母:1億円(法定相続分)
・子供4人
・A:下記以外の資産を相続
・B、C、D:それぞれ500万円
相続税額
・母(配偶者の税額軽減):0円
・A:8,500万円×30%-700万円=1,850万円
・B~D(1000万円以下):0円
2回目相続
相続財産:0.76億円
(母相続分1.3億円、基礎控除5400万円差し引き後)
・母:死亡
・子供4人
・A:0.76億円
・B、C、D:0円
相続税額
・A:0.76億円×30%-700万円=1,580万円
相続税総額:3,430万円
まとめ
おそらく相続税額の計算方法は複雑なのでこの簡単な試算がどれだけ有効なのか分からないけど、2段階に分けて相続したほうが税額は約40%下げられる結果になった。
理由は下記2点
2段階相続は相続に必要な手続きが2倍発生するということ。
その労力に見合うだけの節税効果があるのなら考える余地はあるのだろうか。