2022年7月30日の記事。
2022/07/30 日本経済新聞
ふるさと納税の利用が拡大している。自治体が高級食材などの返礼品を用意する競争が続いており、2021年度の寄付額は過去最高を更新した。都市部からの税収流出や地方全体での事務経費の増大などひずみも大きく、制度のあり方が改めて問われている。
概要
- 21年度の寄付額は8302億円と20年度に比べて23%増加し、2年連続で過去最高を更新した。
- 寄付金を多く集める自治体に共通するのは特色ある返礼品の存在だ。
- ふるさと納税は各年度の寄付額に応じ、寄付者が居住地に翌年度納める住民税などが控除される。
- 総務省は過度な競争を抑えるため、返礼品の調達額は「寄付額の3割以下」などと定めるが、違反する自治体は後を絶たない。
- ふるさと納税で潤う地域がある半面、市区町村の2割は寄付額より控除による流出額の方が大きい。
- 控除による住民税減収分のうち75%は地方交付税で補填されるが、東京23区や財政力の高い自治体は交付税の対象にならない。
各自治体でその地方特有の返礼品を設定し、寄付額を集める。
その返礼品も「寄付額の3割以下」と定められているようだが、それも違反している自治体が多いという。そして返礼品に経費をかけるほど地域にお金が残らず、本末転倒な状況も発生しているらしい。
結局、この「ふるさとう納税」は誰が得をして、誰が損をしているのか。
簡単な計算
例えば、某納税者がふるさと納税で10,000円の寄付を行うとする。
- 寄付額:10,000円
- 返戻品:3,000円(寄付額の3割)
- 税金控除額:8,000円(10,000円-2,000円)
ふるさと納税を設定している地方の自治体は、返礼品との差額として7,000円 の税収が増え、その代わり納税者が居住する場所の自治体は 8,000円の税金控除によって税収減となってしまう。
ふるさと納税を利用する納税者の視点としてみると、3,000円の返礼品が2,000円の実質的な支出で獲得できるということになる。つまり1,000円のプラス分が発生する。
簡単に言うと、税金控除されてしまう自治体の一人負けということ?
ただし、「控除による住民税減収分のうち75%は地方交付税で補填される」らしいから、そうだとしたら、結局はその負担も税金(地方交付税)で大部分が補填されるということになる。つまり、ふるさと納税を利用する自治体と納税者の利益を、国民全体の税金で負荷分散していくような仕組みということなのだろうか。
そう考えると、やっぱりふるさと納税は最大限活用したいところだね。
少なくとも10,000円程度の寄付額でも、1,000円程度のメリットはあるようだし。。