株価チャート
2024年に入ってからは4,000~4,400円の間でもみ合うような動き。
直近では4.000円付近まで売られていたが、決算発表後にやや買い戻されている。
週足で見ると、21年末の3,000円を底に上昇トレンドを形成。
23年10月の4,800円を天井に下降トレンドに転換。
ただし、それでも4,000円の水準は割らずに、4,000円付近まで売られるとその都度買い戻されている。
日足チャート
週足チャート
24年3月期 通期決算
決算発表日:2024年5月9日
売上高、営業利益
- 売上収益:5.9%
- 営業利益:△56.4%
- 営業利益率:5.0%
増収減益。
減益幅は56%と非常に大きい。それもあって営業利益率は5%まで低下。製薬会社にしては低い数値。
営業利益について四季報予想では2,500億円になっていたので、その予想に対しても約360億円未達。
配当
- 配当金:196円
- 株価(5/15):4,153円
- 一株利益:36.70円
- CoreEPS:431円
- 配当利回り:4.7%
- 配当性向:534.0%
- 配当性向:45.4%(Core EPS)
利益水準が低迷している中で、25年3月期は196円と、前年度から8円の増配を予定。
配当利回りは4.7%と高い。
配当性向は534%と非常に高い値。
ただし、「Core EPS」で見ると配当性向は約45%まで下がる。
Core財務指標とは、一般的な財務指標に対して「 中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除」したもの。
Core財務指標
- 当社の中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除
- 控除される項⽬には、(i) 前年度から著しく変動する項⽬、もしくは毎年度発⽣するものではない項⽬、または(ii)当社の中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項⽬が含まれます。
25年3月期 通期業績予想
- 営業利益:5.1%
- 親会社の所有者に帰属する当期利益:△59.7%
25年3月期について、営業利益は5%の増加を見込んでいる。
しかし純利益(親会社の所有者に帰属する当期利益)は約60%という大幅な減益を予想している。
それもあって、配当性向は534%と非常に高い値となっている。
損益計算書
- 売上収益:5.9%
- 売上原価:14.7%
- 研究開発費:15.3%
- 製品に係る無形資産償却費及び減損損失:20.2%
売上収益は5.9%増と伸びているのだが、それ以上に原価(14.7%増)、費用(研究開発費:15.3%増、無形資産償却費/減損損失:20.2%)が大きく膨れ上がっている。
それが大幅な減益につながっている。
バランスシート
社債及び借入金 (非流動負債)
- 22年度:40,427億円
- 23年度:44,765億円
社債及び借入金 (流動負債)
- 22年度:3,396億円
- 23年度:3,672億円
武田薬品工業は19年のシャイアー買収に伴って、借入金を大きく膨らましている。
総資産が約15.1兆円なので、有利子負債比率は約32%。それほど高いわけではないが、それでも有利子負債は約4.8兆円と巨額。
しかも、23年度末はその負債額が逆に増えている。
24年度に満期を迎える社債については、借換えで返済を先送りしているとのこと。
満期を迎える巨額な社債の返済は、25年以降も継続する。
関連記事
2024/05/10 日本経済新聞
武田薬品工業は9日、2025年3月期の連結営業利益(国際会計基準)が前期比5%増の2250億円になる見通しだと発表した。市場予想の平均(QUICKコンセンサス)の4198億円を大幅に下回る。前期に計上した減損損失が減るものの、経営指標を改善するため、事業構造再編に1400億円を投じることを織り込んだ。
2ケタ減益を見込むものの、25年3月期の年間配当は1株196円(前期は年188円)とする。武田は年間配当を維持または増額する累進的な配当方針を掲げており、増配は2年連続だ。25年3月期の予想1株利益は36・7円で、連結配当性向は2年連続で100%を大幅に超える。
武田、今期営業益5%増 市場予想下回る 事業構造再編に1400億円 - 日本経済新聞
2024/03/07 日本経済新聞
武田薬品工業は6日、主力である潰瘍性大腸炎などの治療薬「エンティビオ」の新製造ラインを稼働したと発表した。約70億円を投じて、山口県の工場での製造量を年間3倍以上に増やす。2024年4月から出荷を始める。世界的な需要の高まりに対応し、内製化して安定供給や品質保証を強化する。
エンティビオは武田の主力品で、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療薬として使われる。70カ国以上で製造販売承認を取得しており、22年度の売上高は7027億円だった。23年度は7730億円を計画しており、ピーク時には1兆円規模まで成長すると見込む。
まとめ
利益水準は大きく低下しており、それもありPER(111倍)、配当性向(543%)ともに大幅に上昇している。
現状の利益水準からすると、この株価は非常に割高と言える。
ただし、Core財務指標(中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除)で見ると、また状況が変わる。
どちらで見るかで投資判断が分かれそう。
利益水準が大きく低迷する中で24年度は増配を予定。
連続増配銘柄でもあり、24年度も増配を継続中。配当利回りは4.7%と高い。
確かに現状の配当利回りは魅力的なので、ある程度売られた場合は買ってもいいが、買うにしても購入額は抑えてリスクを下げ、1~2年の中期保有とすべきか。