株価チャート
4/25の決算発表後に窓を開けて大きく下げていたが、その後は株は買い戻されて、決算発表前の水準まで戻ってきている。
週足で見ると1,400円が一つの底だと見える。
1,400円で反発するのか、1,400の水準も下回ってくるのか。そこが一つのポイントか。
日足チャート
週足チャート
24年3月期 通期決算
決算発表日:2024年4月25日
売上高、営業利益
- 売上収益:5.6%
- 営業利益:△80.8%
- 営業利益率:1.5%
増収減益。
減益幅は80%強と非常に大きい。それもあり営業利益率は製薬会社としてはかなり低い1.5%まで落ち込んでいる。
営業利益
- 2023年度通期予想:130億円(4月12日修正公表)
- 2023年度実績:255億円
4/12に一度修正業績予想を公表していたが、その予想よりはプラス側に着地した様子。
4Qで減損損失を563億円計上。
配当
- 配当金:74円
- 株価(5/6):1,558円
- 一株利益:16.73円
- 一株利益:103.73円(コアベース)
- 配当利回り:4.7%
- 配当性向:442.3%
- 配当性向:71.3%(コアベース)
25年3月期は前期から4円の増配予定。
一応は25年3月期は増益予想になっているのだが、それでも配当性向は 400%を超える水準。
25年3月期は74円の配当を拠出したとしても、そもそもとして利益をもっと上げていかないと今の水準の配当を継続するのは難しそう。
アステラス製薬では「コアベースの業績」も併せて開示。
コアベースとは「フルベースの業績から当社が定める非経常的な項目 を調整項目として除外したもの」とのこと。
その数値で見ると配当性向は71%まで下がる。
コア利益は、フルベースの利益から「 無形資産償却費:1,400億円」と「 減損損失リスクなどのその他費用:600億円」を除外して調整している。
確かに無形資産償却費はキャッシュの流出を伴わない会計上の費用になるし、減損損失リスクもまだ未確定の費用になる。
その点では、配当性向は「コアベース」で見たほうが実態に近いのか。
2005年から増配が続いている。
ただし利益(コア営業利益)については、近年では大幅に低下。それでも「より高い水準の配当を目指す」とのことだが、それは本当に実現可能なのか。
25年3月期 通期業績予想
25年3月期 連結業績予想
- 売上収益:2.9%
- 営業利益:88.1%
25年3月期は増収増益予想。今期の大幅な減益もあり、増益幅は88%と高い値を予想している。
ただし、コアベースでは営業利益、当期利益ともに約10%程度の減益予想。
損益計算書
- 2022年度:6,302億円
- 2023年度:7,401億円
無形資産償却費
- 2022年度:384億円
- 2023年度:988億円
販管費は約1,100億円、無形資産償却費は約500憶円増。
無形資産償却費はキャッシュ流出を伴わない費用なのでいいとしても、販管費が1,100億円も増えているのが気になる。
減損損失がクローズアップされているが、販管費増も営業利益低下に寄与している。
バランスシート
社債及び借入金
- 非流動負債:4,477億円
- 流動負債:4,722億円
社債及び借り入れ金が前期から大幅増。
Iveric Bio社買収(7,850億円)のための資金を、借入金で賄っているとのこと。
非流動負債(長期借入金)だけではなく、流動負債(短期借入金)も大幅に増えているのが少し気になる。
関連記事
2024/04/26 日本経済新聞
アステラス製薬は25日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比76%増の300億円になりそうだと発表した。米国における前立腺がん薬の販促費を減らすほか、前期に実施した早期退職者の募集に伴う人件費の抑制も寄与する。新薬の販売も利益を押し上げる。
売り上げ全体に占める割合が4割を超える前立腺がん薬「イクスタンジ」の販売額は1%増にとどまる。20年代後半に特許切れとなる予定だ。
2024/04/13 日本経済新聞
アステラス製薬は12日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前の期比97%減の30億円になったと発表した。従来予想から550億円下方修正した。神経系の希少疾患治療薬の研究開発が想定より遅れていることや、販売が苦戦する腎性貧血治療薬の将来販売計画を見直した結果、減損損失を計上した。
まとめ
24年3月期の通期業績結果は増収減益。
減損損失の計上もあり、大幅な減益となっている。
配当性向は400%を超える水準で非常に高い。
そこに関しても、無形資産償却費用等の影響を除外すると70%程度まで低下。
その数値をどう見るかで投資判断が変わりそう。
売上現在の4割を占める前立腺がん薬「イクスタンジ」の特許切れは20年代後半とのこと。業績について長期では不透明感も残る。
それまでにほかの薬で売り上げを作ることが出来るかがポイント。
長期ではまだまだ予測は難しい。
20年代後半までという中期であれば、一時的な利益回復を見込んで少額でポートフォリオに加えるという選択肢もないことはなさそう。
それもあって、株価も一時的に反転しているとみている。
ただ、それでもやはりリスクは高い。
1,400円を割って株価が調整されるのなら少額でリスクを限定した上でポートフォリオに加えてもいいが、現時点では様子見。