株価チャート
23年9月に3,800円まで上昇した後は、一時3,200円まで売り戻されていた。
24年3月に再び3,800円まで買われていたが、その後は再び売り戻されている。
3,800円が天井となっていて、それを超える水準での買い圧力は強くないのかもしれない。
週足では20年3月の800円を底にして上昇トレンド形成中。一時2,000円付近でもみ合う状況が続いていたが、その水準を超えた後は再び上昇トレンドを形成している。
日足チャート
週足チャート
24年3月期 第3四半期決算
決算発表日:2024年2月7日
売上高、営業利益
- 売上収益:11.4%
- 営業利益:△18.8%
- 営業利益率:9.3%
増収減益。
減益幅は19%と大きい。
それもあって営業利益率は10%を切ってしまっている。ただしそれでも9%は維持しており、この数値は装置産業(製鉄)という点を考えても高め。
配当
- 配当金:160円
- 株価(3/18):3,615円
- 一株利益:510.00円
- 配当利回り:4.4%
- 配当性向:31.3%
配当利回りは4.4%。
今の市場状況を見ても、この数値は高い方の部類に入る。
その割に配当性向は30%と低く抑えられており、配当原資の点でもまだ余裕はありそう。
2023年度 配当見通し
本決算発表時に、配当金を従来予想の150円から10円増額。
事業利益を今回の決算発表で上方修正をしており、それを受けての配当増額。
ただし、前期実績は180円なので、前期比では減配となっている。
これも今期の減益を踏まえた減配だと考えられる。
累進的配当戦略を取っているわけではなく、業績の状況に応じて配当金を調整する方針なのだろう。
そうなると、今の利益水準がどれだけ維持できるかが、今後の配当水準を占う上で重要になってくる。
通期業績予想
事業利益
- 通期予想:8,000億円
- 第3四半期:6,923億円
- 進捗率:86.5%
第3四半期時点での進捗率(事業利益)は86%と、目安の75%を大きく超えている。
本決算発表時に事業利益を600億円上方修正。
損益計算書
増収に伴い売上総利益も前期比で約500億円増やすことができているが、それ以上に販管費が増えてしまっており(約1,100億円)、減益につながっている。
USスチール買収
23年12月18日にUSスチールの買収を公表。
買収額としては約2兆円。
中国が過剰な粗鋼生産を行いアジア市況が悪化する中で、米国を大きな収益源に育てる狙いとのこと。
ただし24年3月時点で、バイデン大統領がUSスチール買収に対して反対を表明しており先行きは不透明。
バイデン氏が米社買収に慎重姿勢 労組交渉へ「強い決意」
2024/03/16 日本経済新聞
日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収を巡り、政治的な風圧が強まっている。バイデン米大統領が14日、慎重な姿勢を示したことを受け、日本製鉄は15日、「強い決意のもと、買収を完了させる」とコメントした。日鉄は現地の労働組合との対話に注力する考えだが、11月の米大統領選をにらみ買収完了が長期化する懸念もある。
2023/12/19 日本経済新聞
日本製鉄は18日、米鉄鋼大手USスチールを買収すると発表した。買収額は約2兆円。日鉄として過去最大級のM&A(合併・買収)で、鉄鋼業界として日米企業同士の大型再編となる。脱炭素で電気自動車(EV)に使う高機能鋼材の需要が増えるなか、経済安全保障も背景に日米で重要物資の供給体制を整える。
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購入額の5割 個人、高値でも買い 流入ペースは前年の3倍
2024/03/15 日本経済新聞
対面・ネット証券10社の新NISA(少額投資非課税制度)口座を経由した投資信託・株式の購入額が、2月単月で1兆3949億円だったことがわかった。うち5割がNTTなど個別株だった。1~2月の累計では3兆円を超え、概算で旧制度だった前年の約3倍のペース。日経平均株価が最高値圏にあってもコツコツ買い続ける新たな投資家層が台頭してきた。
2024/02/08 日本経済新聞
日本製鉄は7日、2024年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比32%減の4700億円になる見通しだと発表した。従来予想から500億円上方修正し減益幅が縮小する。年間配当も160円(前期は180円)と従来予想比10円積み増す。原料価格が想定よりも下がり、鋼材の販売価格との差であるマージンが拡大する。
まとめ
増収減益。
減益幅は19%と大きいが、それでも営業利益率9%は確保。まだ利益構造の面では強みを維持していると考えられる。
23年12月にUSスチール買収を発表。
買収額は2兆円と巨額。買収資金は金融機関からの借入金で賄うとのこと。
財務構造の悪化が懸念されるが、現状の有利子負債比率は28%とそれほど高くは無く、財務構造の毀損まではいかないだろう。
累進的配当戦略を取っているわけではなく、利益状況に応じて配当額は調整している。なので、今の利益水準がどれだけ維持できるかが重要。その点でもUSスチール買収の行方が大切になってくる。
利益財務構造、今の配当水準を考えても、候補銘柄に加えてもいいかな。