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【株式投資/企業分析】楽天グループ(23年12月期 通期決算)

 

株価チャート

2/14の23年12月期通期決算発表後に大幅上昇。

楽天モバイルの赤字幅低減を好感したとのこと。

ただし、その後は750~800円の間をもみ合っているような状況。

 

週足では、21年3月の1,300円を天井に下降トレンド。23年6月には500円を割るところまで下がっている。

ただし、その後は緩やかな上昇トレンドを形成。

 

 

日足チャート

 

週足チャート

 

 

23年12月期 通期決算

決算発表日:2024年2月14日

 

売上高、営業利益

  • 売上収益:20,713億円(7.8%)
  • 営業利益:△2,128億円(-%)

 

先期に引き続いて巨額な損失を計上。

ただし、営業損失自体は3,700億円から2,100億円に低減。

売上高は7.8%増で2兆円の大台に乗せている。

 

 

配当

 

23年12月期は無配に転落。

24年12月期の配当金は未定とのこと。

財務的に厳しい状況が続いており、しばらくは無配が続くかもしれない。

 

 

損益計算書

連結会計年度

  • 売上収益:20,713億円
  • 営業費用:22,249億円
  • その他の収益:102億円
  • その他の費用:594億円
  • 営業損失:△2,128億円

 

連結会計年度比で売上収益は増加する一方、営業費用は逆に下げることが出来ている。

収益性改善は、その点が大きく効いている。

 

 

キャッシュフロー計算書

  • 営業CF:7,241億円
  • 投資CF:△5,974億円
  • フリーCF:1,267億円
  • 財務CF:2,919億円

 

前年(2022年12月期)は営業CFで2,600億円のマイナス、投資CFで9,500億円のマイナス。フリーCFで約1.2兆円のマイナスとなっている中、財務CFで約1.5兆円をかき集めて何とか資金を回している。

 

本年(23年12月期)は、営業CFで7,200億円もの巨額なキャッシュを獲得しており、フリーCFもプラスに転じている。

 

 

営業CF

連結会計年度

  • 税引前当期損失:△2,177億円
  • 銀行事業の貸付金の増減額:△4,035億円

 

損失額の低減によって約2,000億円の改善。

銀行事業の貸付金を抑えることによって約5,700億円を改善している。

 

 

セグメント

 

連結会計年度 セグメント損益

  • インターネットサービス:768億円
  • フィンテック:1,229億円
  • モバイル:△3,375億円

 

インターネットサービス、フィンテックは増収増益。

モバイルも損失額は減少しているが、ただしそれでも依然として3,300億円という巨額の損失を計上している。

 

 

楽天モバイル 契約回線数

 

楽天グループの生死は、楽天モバイルの行く末にかかっている。

 

楽天モバイルは無料プラン(月間1GBまで無料)を導入して一時は契約回線数を大きく伸ばしていたが、無料プランは22年6月で終了。

それに伴い契約回線数も減少。

ただし23年に入って再び伸びてきている。

 

 

楽天モバイル ARPU

 

無料プラン終了(22年6月)に伴って、ARPU(1ユーザーあたりの平均的な収益・売上)は増加。

無料プラン終了に伴って契約回線数は一時減らしていたが、本来の狙いであるARPUは延ばすことが出来ている。

 

ただし、23年4QはB2B契約者数が大幅に増加したことに伴いARPUが低下したとのこと。

楽天としての目標値は2,500~3,000円。

目標達成まではまだ遠い。

 

 

資本調達

 

保有株式売却(楽天銀行楽天証券等)を続けており何とか資金を調達している。

23年5月には増資で2,950億円を調達。

23年5月から6月にかけて大幅に株価が下がっている(700円→450円)のも、その影響があるか。

 

 

 

将来的にはセルフファンディング(インターネット事業、フィンテック事業、モバイル事業からの資金獲得で、投資用資金を賄う)によってキャッシュを廻していくとのこと。

 

確かにモバイル事業の収益性改善、インターネット事業、フィンテック事業の増益もあって営業CFは改善の方向に向かっている。

だけど、2023年の使途と資金源の差分を見るとそれが実現できるのはもう少し先に見える。

 

 

株主優待制度

 

楽天モバイル通信量(30GB/月、12か月提供)を優待制度として設定。

 

現状の楽天モバイルが提供している「最強プラン」は下記のような料金設定になっている。

  • 3GBまで:880円/月(税込968円)
  • 3GB超過後 20GBまで:1,880円/月(税込2,068円)
  • 20GB超過後 無制限:2,880円/月(税込3,168円)

 

なので、優待制度(30GB無料)を利用すれば月間33GBまでの使用であれば、費用を880円に抑えられるということになる。

 

必要な保有株数は100株以上。

2/26時点の株価が785.1円なので、約7.8万円分の株(100株)保有していれば、この株主優待がもらえる。

この優待制度がどこまで継続するのは不明だが、楽天モバイルユーザーであれ100株くらいは買っておいてもいいかもしれない。

 

 

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www.nikkei.com

 

 

まとめ

決算結果としては増収。

赤字幅も圧縮している。

 

確かにモバイル事業も赤字幅は圧縮しているのだけど、依然として約3,300億円の赤字。これからも気が抜けない状況が続きそう。

モバイル事業は契約回線数も一時の減少から上昇に転じており、また、狙いであるARPUも上昇してきている。

ARPUが減少に転じているのが気になるけど、B2B契約大幅増の影響とのことなので、もう少し様子を見る必要があるかな。

 

財務的にも綱渡りが続きそう。

セルフファンディングでキャッシュを廻していくことを狙っているようだが、その実現まではまだ先が長いように見える。

 

 

私事だが、最近スマホのキャリアをソフトバンクから楽天モバイルに変更した。

それでスマホ代はかなり抑えられている。

個人的には楽天モバイルには頑張ってほしいところ。

 

株主優待がどこまで継続するかは不透明だけど、優待狙いで最小単元くらいは買ってもいいかな。

 

 

 

 

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