知識蓄積ノート【投資・FIRE】

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私は、強迫観念に追い立てられるように、「私も参加します」と答えていた。

内定式の集合場所は、某事業所の近くにある会館だった。
 
駅前からその場所に向かって歩き始める。途中で私の前に、リクルートスーツを着た同年代の人をちらほら見かけた。そしてその会館の入り口から同じように中に吸い込まれていく。「この人たちが、私の同期となるのか」そんな思いを自分の心の片隅に抱きながら同じように中に入る。そこは運動もできる体育館のような場所で、ずらりと机と椅子が並んでいた。私は少し遅れて入ったため、すでにその机の多くにリクルートスートが並んでいた。前に貼り出された席番号と、プリントアウトした内定式の案内に記載されている自分の番号を照合して自分の席を見つけ出して座った。内定者同士ですでに何らかのつながりを持っている人たちはお互いに会話をしていた。おそらくその会社の内定者で作っているホームページのようなものが立ち上がっていたはずだから、そこで内定式の前に色々とやり取りをしていたのだろう。私は当然、その輪の中に事前に加わることは無かった。その会場でも特に周りとは一言も言葉を交わさなかった。机の上にはいくつかの書類が置かれていて、それにひたすら目を落とし続けていた。
 
内定式も具体的にどのような内容だったのは、正直はっきりとは覚えていない。もう17年近く前の話だ。確か、給料が振り込まれる銀行口座開設の書類に記入と捺印をしたのは辛うじて覚えている。
 
内定式は集合も午後1時となっていて、その午後の時間を使って色々な説明を聞き書類への記入をしていく。午後5時にもなるとその内定式も終わって、私たちは解散となった。会場となっていた会館を出たところで、親睦会を開こうという話が内定者の間に流された。私はそのような会に参加したいとはこれっぽっちも思わなかったのだけど、その誘いを無視できるわけがなかった。だって、この内定者の人たちは、入社後に私の同期となるような人たちでもあったのだから。この内定式だけではなく、入社後も長く付き合っていく必要がある。そこで自分から孤立に進んでしまったら、社会人人生も暗雲が立ち込めてしまう。
 
私は、強迫観念に追い立てられるように、
「私も参加します」
と答えていた。
 

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