今後の投資戦略の続き。
誰が国債を買うのか
日銀が買わなくなった国債を、誰が買うのか。
素直に考えれば、まずは銀行や保険会社などの国内金融機関ということになるのだろう。
1,000兆円を超えるまで積み上がっている、日本の借金(国債)。
この問題について語るとき、日本には膨大な家計金融資産があるからその資産で国債購入のための資金を賄えば問題ないという文脈で語られることがある。
日本の家計金融資産
では、日本の家計部門には現在どれだけの金融資産があるのか。
日銀の統計局がまとめている資料を見ると、次のようになっている。
- 現金/預金:1,126兆円(50.3%)
- 保険/年金/定型保証 :566兆円(25.3%)
- 株式等 :294兆円(13.1%)
- 投資信託:140兆円(6.3%)
- 債務証券:33兆円(1.5%)
- その他 :79兆円(3.5%)
- 金融資産計:2,239兆円(100.0%)

https://www.boj.or.jp/statistics/sj/sjexp.pdf
約2,200兆円の金融資産が、日本の家計部門には存在している。
そのうち、現金/預金、保険/年金/定型保証は約1,700兆円となる。
国内金融機関(銀行、保険会社)が国債を購入した場合、金融機関を介してこれらの資金が国債消化のために回されることになる。
日本の対外純資産
また、「日本は債権国なので、国債が積み上がっていても問題ない」ということを言う人もいる。
では、現在の日本の対外純資産はどの程度あるのか。
財務省のHPには次のように書かれている。
- 対外資産残高:1,659兆221億円
- 対外負債残高:1,125兆9,721億円
- 対外純資産残高:533兆500億円
2024年末で、日本の対外純資産は約530兆円となっている。
例えば、「米国債」に関して現在日本が世界最大の保有国だが、その保有額は約1兆1,470億ドル(約168兆円:1ドル147円で換算)にのぼる。
ロイター 2025年8月16日
財務省が15日発表した6月の対米証券投資統計によると、海外勢の米国債保有額は9兆1300億ドルと、4カ月連続で9兆ドルを超え、過去最高に達した。
5月は9兆0500億ドルだった。
6月は前年比で10%増となった。
しかし取引ベースでは、50億ドルの資金が流出。5月には海外勢は1470億ドル相当を購入し、2022年8月以来最大となっていた。
国別では、日本の米債保有額が過去最高の1兆1470億ドルで、トップを維持した。
第2位の英国の保有額も前月比0.6%増の8581億ドルで、過去最高を記録した。
第3位の保有国である中国はほぼ変わらずの7564億ドル。前月は09年2月以来の低水準となる7563億ドルだった。
しかし対外資産もすべてを国が保有しているわけではない。もちろん民間で保有しているものもある。
民間が保有する対外資産を国が強制的に売却して国債消化に充てるということはできない。できるとしても、増税によって間接的に民間の資金を吸い上げるくらいだろう。
海外投資家
国内で国債を消化しきれなくなれば、最後は海外投資家に頼るしかなくなる。
各国の国債には格付けがなされている。
2025年5月に米格付け会社ムーディーズが米国債を最上位から引き下げた際もニュースになった。
23年に「最上位」転落
2025/05/21 日本経済新聞
米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国の信用格付けを最上位から引き下げてから事実上初の取引となった19日の米国市場では懸念された「米国資産売り」再加速は生じなかった。多くの機関投資家にとって、2年前の他社による格下げで運用上は最上位から既に評価を下げており、3社目となる今回の格下げの影響は限定的との見方が多い。
では、日本国債は格付けとしては現在どのような位置づけになっているのか。

https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2025/07/report_250722_01.pdf
一応はA1/A+~A2/Aを維持しているが、財政悪化とともに格付けは徐々に引き下げられてきている。
今後、国内資金だけで国債の消化ができなくなるほど財政が悪化した場合、格付けも今以上に引き下げられると思われる。
そのような中、海外投資家からの資金を当てにするのはあまりにも楽観的過ぎる。
限界点
国内の家計金融資産や対外資産の一部などを国債消化に充てれば、確かにある程度の水準の借金(国債)は維持できるのかもしれない。
しかしその金融資産も無限にあるわけではない。
しかも、日本の借金(国債)の水準はとどまるところを知らず年々増加している。
今のような状態が続けば、国債のための資金を賄いきれなくなる「限界点」がいつか必ず訪れる。
問題は、その「限界点」がいつ訪れるのか、ということになる。
