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【株式投資/企業分析】日本製鉄(25年3月期 通期決算)

 

株価チャート

トランプ関税ショックで株価は大きく下落。

その後は緩やかに上昇をしていたが、決算発表後の5月12日に再び窓を開けて大幅に下落している。

 

直近では、トランプ大統領USスチールの買収を認めたというニュースが出ており、それによって株価が乱高下しているような状態となっている。

 

 

日足チャート

 

 

週足チャート

 

 

25年3月期 通期決算

決算発表日:2025年5月9日

 

売上高、営業利益

  • 売上収益:△1.9%
  • 営業利益:△29.6%
  • 親会社の所有者に帰属する当期利益:△36.6%
  • 営業利益率:6.2%

 

2025年3月期通期決算結果は減収減益。

減益幅は約30%と大幅な減益となっている。前年度も10%を超える減益であり、二年連続の大幅減益。

 

 

配当

  • 配当金:120円
  • 株価(5/27):2,909.5円
  • 一株利益:191.00円
  • 配当利回り:4.1%
  • 配当性向:62.8%

 

2026年3月期の通期業績予想は40%を超える大幅な減益予想となっており、26年3月期の配当金は、前年度の160円から120円へと40円の減配となっている。

 

 

 

 

会社方針では配当性向は「30%程度目安」とのこと。

しかし、2026年3月期は大幅な減益予想もあり、配当性向は60%強まで跳ね上がっている。

 

今の水準の利益が続くと、さらなる減配もありうる。

 

 

26年3月期 通期業績予想

親会社の所有者に帰属する当期利益

  • 26年3月期通期予想:2,000億円

 

2026年3月期通期における純利益予想は2,000億円となっている。

前年度である2025年3月期の純利益が約3,500億円だったので、40%を超える減益となる。

ただしこの予想について、USスチール買収の影響は含んでいないとのこと。

 

 

バランスシート

現金及び現金同等物

 

2025年3月末における保有現金は約6,700億円。

USスチール買収の際には、日本製鉄はUSスチール2兆円の投資を行うとも伝えられている。

当然保有する現金ではその投資額を賄うことができず、借り入れで調達をするか、場合によっては増資によって調達するという話も挙がっている。

 

借入で調達する場合は財務が傷んでしまうし、増資の場合は株式の希薄化につながり株価の下落が予想される。

 

USスチール買収はまだどう転ぶか分からないような状況だが、2兆円の投資に見合うリターンが得られるのか。

不透明感はどうしてもぬぐえない。

 

 

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トランプ氏は25日の発言で「(USスチールは)米国がコントロールすることになる。そうでなければ取引を成立させないだろう。(日鉄は)投資をし、部分的に所有権を持つ」との見通しを示した。

 

一方で、日鉄が求めている完全子会社化や買収の具体的な枠組みについては触れなかった。日鉄は従来から「リターンがない投資はできない」とし、完全子会社化を買収の条件に掲げている。

 

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神鋼、JFE抜き2位 前期純利益 多角化、鉄不況カバー - 日本経済新聞

 

 

まとめ

25年3月期通期決算は減収減益。

減益幅は約30%と大幅な減益となっている。

しかも同時に発表した26年3月期の純利益予想はさらに40%の減益となる予想となっている。

それもあり、決算発表後は株価は窓を開けて大幅下落となっている。

 

2026年3月期の配当金は120円と、前年度の160円から減配となっている。

今の水準の利益が続くと、さらなる減配も予想される。

 

USスチール買収をトランプ大統領が認めたというニュースが流れているが、完全子会社化を目指している日本製鉄側とまだ隔たりは大きい様子。

これもどう転ぶか分からない。

トランプ関税で米国に輸入する鉄鋼には25%の関税がかけられている。
中国が景気低迷する中で、日本製鉄はインド事業と米国事業を成長の柱に据えている。

USスチールを子会社化できるかどうかが今後の日本製鉄の成長を占ううえで大きなポイントとなっている。

一方でUSスチールに対して2兆円の投資を行うという発表を日本製鉄は行っているが、もし本当にその投資を行う場合は、財務の悪化や増資による株式の希薄化が懸念される。

 

USスチールを買収できたとしても、あるいは買収できなかったとしても、いずれにせよ不透明感がぬぐえない。

 

今のような状況では、日本製鉄株を追加で購入していくことは難しい。

 

 

 

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