株価チャート
4月上旬のトランプ関税ショックで株価も大きく下落。
直近ではやや戻してきているが、ただし、ショック前の水準はまだまだ遠い。
日足チャート
週足チャート
25年12月期 第1四半期決算
決算発表日:2025年4月24日
売上高、営業利益
- 売上高:7.1%
- 営業利益:20.5%
- 当社株主に帰属する四半期純利益:20.5%
- 営業利益率:9.1%
増収増益。
増益幅は約20%と非常に大きい。
営業利益率も9%と、製造業の中においては高めの部類に入る。
配当
- 配当金:160円
- 株価(4/25):4,332円
- 一株利益:364.18円
- 配当利回り:3.6%
- 配当性向:43.9%
配当利回りは3.6%と製造業の中では高めだが、投資目安の4%には到達していない。
配当性向は約44%とそれなりに低めに抑えられている。
25年12月期 通期業績予想
営業利益
- 通期業績予想:4,660億円
- 第1四半期実績:965億円
- 進捗率:20.7%
営業利益において通期業績予想は、前年度66%増の4,660億円。
第1四半期時点における進捗率は約20%と、目安の25%を下回っている。
本決算発表時に、通期業績予想を修正。
売上高、利益ともに下方修正している。
修正理由としては米国関税と円高が挙げられている。
米国関税に関しては、決算資料の中に「米国関税については、10%の追加関税が年内継続することを前提に販売価格を見直し、それに伴う販売数量の変化には一段の経費削減を織り込むなど、通期の業績見通しの中で反映しております」との記載あり。
年内10%の関税が付加されることを見越して業績予測を行っており、24%での予測にはなっていない。
また、円高に関しては米ドル142円での試算となっており、前回公表時から米ドルは約6円の円高を見込んでいる。
米国の関税政策影響
米国関税に対する対応としては、「原則値上げで対応」。
値上げによる販売数量の減少も見込んで、通期業績予想を下方修正している。
「米国において1兆2,000億円を超える売上があり、米国内での生産は限定的であるため、関税政策による業績への影響は避けられない」とのこと。
セグメント情報
営業利益
- プリンティング:731億円
- メディカル:67億円
- イメージング:312億円
- インダストリアル:84億円
利益の大部分をプリンティング(複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター)で稼いでいる。
過去に東芝から医療部門を買収しているが、医療部門の利益を伸ばすことはできていない。
関連記事
2025/04/25 日本経済新聞
キヤノンは24日、2025年12月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比2倍強の3330億円になる見通しだと発表した。従来予想から310億円下方修正した。トランプ米政権による関税政策は営業利益ベースで約340億円の下押し要因となる。想定為替レートを円高方向に見直したことも響く。
キヤノン、純利益下振れ 今期、米関税影響340億円 - 日本経済新聞
2025/03/25 日本経済新聞
キヤノンが2026年1月をメドに、医療機器子会社を本社と統合する。16年に東芝から買収して以来、自主性を尊重してきた事業運営を本社直轄に改める。新規事業やソフト開発、海外事業を歴任してきた「エース」人材を配置した。苦戦が続く医療事業のコスト構造を見直し、米欧大手を追う。
まとめ
決算結果は増収増益。
前年度は大きく減益していたということもあり、今年度は大幅な増益となっている。
トランプ関税により、営業利益ベースで約340億円の下押し要因となるとのこと。
ただしそれは10%の関税率で計算されており、関税率がこれよりも高くなるとさらに減益幅が大きくなると考えられる。
配当利回りは3.6%。
製造業の中ではそれほど悪くはない値ではあるが、今後米国関税の影響や円高の影響を考えると、業績の見通しの不透明感は拭えない。
米国の売り上げが1兆2,000億円あるが、米国内での製造はほぼやっていないとのこと。
株価は今まで長期にわたって上昇を続けており、今後は業績に対する不透明感から低迷期に入ることも考えられる。
投資候補に入れるのは難しいかな。