株価チャート
2022年7月に4,000円まで急騰した後は、急落を繰り返し、現在は1,600円まで下落。
25年に入りやや反発の動きを見せているが、そのままトレンドが転換していくかどうかは不透明。
日足チャート
週足チャート
25年3月期 第3四半期決算
決算発表日:2025年2月3日
売上高、営業利益
- 売上収益:△3.9%
- 営業利益:△51.1%
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:△48.8%
- 営業利益率:18.7%
減収減益。
減益幅は約50%と大幅な減益となっている。
製薬会社だけあって、営業利益率は18.7%と高い。
ただし前年度の利益率が37%なので、今年度はそこからは約半減してしまっている。
配当
- 配当金:80円
- 株価(3/24):1,670.5円
- 一株利益:123.49円
- 配当利回り:4.7%
- 配当性向:64.7%
これまでの株価下落の影響なのか、配当利回りは4.7%と非常に高い。
今年度は大幅減益の予測となっているが、それでも配当性向は約64%とそれほど高くはなっていない。
25年3月期 通期業績予想
営業利益
- 通期業績予想:820億円
- 第3四半期実績:707億円
- 進捗率:86.2%
営業利益に関して、通期業績予想は前年度48.7%減の820億円。
もともと大幅減益の予想となっていることもあり、第3四半期時点の進捗率は約86%と高い。
バランスシート
- 自己資本比率:75.8%
- 有利子負債比率:13.1%
自己資本比率は約75%と非常に高く、一方で、有利子負債比率は約13%と低く抑えられている。
財務構造としては特に問題はなさそう。
損益計算書
売上収益の減少もあり、売上総利益は前年度から約230億円減少。
それに加えて、販管費は約100億円、研究開発費は約300億円増えている。
結果として大幅な営業減益につながっている。
製品商品別売り上げ
売上の中で「オプジーボ」が占める割合は大きい。
しかし、オプジーボの売り上げは前年度から205億円のマイナスと、薬価改定の影響もあり大幅減となっている。
オプジーボとは、T細胞にかけられた免疫のブレーキを解除する働きがある「免疫チェックポイント阻害薬」。
関連記事
2024/11/01 日本経済新聞
小野薬品工業は31日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比55%減の580億円になる見通しだと発表した。従来予想を330億円下回る。6月に米バイオ薬品企業、デシフェラ・ファーマシューティカルズを買収したことで研究開発費などが膨らむ。韓国バイオ企業と創薬で提携する契約の費用も利益を押し下げる。
売り上げ6割消失危機 M&Aで欧米基盤獲得
2024.8.2
抗がん剤「オプジーボ」をけん引役に2023年度まで9期連続増収を達成した。だが28年米国、30年欧州、31年日本でオプジーボは特許切れとなる。売上収益の急減を補うため、出遅れていた欧米での事業展開を急ぐ。
2024/05/01 日本経済新聞
小野薬品工業が持続的な成長に向けて米バイオ製薬の買収を決めた。24億ドル(約3700億円)を投じる同社最大の買収案件となる。業績拡大をけん引してきたがん免疫薬「オプジーボ」は2028年以降に段階的に特許切れを迎える。がん領域を中心に新薬候補をいち早く増やし、「特許の崖(パテントクリフ)」に備える。
オプジーボ、薬価15%下げ 他社品の「共連れ」再び
2024/03/28 日本経済新聞
4月1日に実施される2024年度の薬価基準改定で、小野薬品工業の主力製品であるがん免疫薬「オプジーボ」の薬価が15%下がることが決まった。相良暁社長は日本経済新聞のインタビューに対し「製薬企業が不利になる薬価制度が放置されすぎている」と指摘。頻繁に薬価を引き下げる国内制度の改善を訴えた。
まとめ
決算結果は減収減益。
減益幅は約50%と非常に大きい。
主力としている「オプジーボ」の薬価改定の影響や、企業買収による費用増などによる。
オプジーボは28年米国、30年欧州、31年日本で特許切れになる。
次の収益の柱になるのはどの製品なのか。その点に関する不透明感も株価が上がらない理由の一つなのだろう。
配当利回りは4.7%と非常に高い。
将来的な収益に関する不透明感はぬぐえないが、ここまで株価が調整しているのなら候補銘柄の一つに加えてもいいかな。