株価チャート
24年中ごろから24年末までは長らく下降トレンドが継続していたが、3,000円を底値にして上昇トレンドに転換してきている。
ただしUSスチール買収問題も抱えており、そのまま上昇を続けるのかは不透明。
日足チャート
週足チャート
25年3月期 第3四半期決算
決算発表日:2025年2月6日
売上高、営業利益
- 売上収益:△1.3%
- 営業利益:△8.5%
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:△17.9%
- 営業利益率:8.6%
減収減益。減益幅は10~20%と大きい。
ただしそれでも営業利益率は8.6%と、装置産業である製鉄事業として考えると高めを維持している。
事業環境としては、中国における鋼材需要が2020年をピークに減少しているにもかかわらず、中国鉄鋼メーカーが雇用維持を目的として高水準の生産を継続しており、余剰鋼材を大量に輸出している状態だという。
中国の大量輸出により、鋼材市況が低迷。
それにより、世界の鉄鋼メーカー全体で約30兆円レベルの業績圧迫が発生。
そのような事業環境においても、日本製鉄は、世界の鉄鋼メーカーの中でも際立つ収益力を上げているとのこと。
配当
- 配当金:160円
- 株価(2/24):3,364円
- 一株利益:311.00円
- 配当利回り:4.7%
- 配当性向:51.1%
配当利回りは一時5%を超えていたが、ここのところの株価上昇もあり4.7%まで下がってきている。
それでもこの値は十分に高い値となっている。
配当性向は51%と異様に高いという訳でもない。
2019年、2020年と大きく配当を減らしていたが、2021年以降は160~180円の配当を継続。
配当性向は30%程度を目安にするとのこと。
現時点で配当性向が52%程度と高くなってきているため、これ以上の増配はそれほど期待できないかもしれない。
25年3月期 通期業績予想
事業利益
- 通期業績予想:6,700億円
- 第3四半期実績:5,661億円
- 進捗率:84.4%
事業利益に関して、通期予想は前年度23%減の6,700億円。
第3四半期時点の進捗率は84%と、目安の75%を超えている。
純利益に関しては、通期予想の額を本決算時にすでに超過している。
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まとめ
第3四半期決算結果は減収減益。
減益幅は10~20%程度とそれなりに大きい。
ただし中国鉄鋼メーカーの過剰輸出の中で、市況が大きく低迷していることを考えても、日本製鉄は高い利益率を維持している。
米国は輸入される鉄鋼に対して25%の関税をかけるとのこと。
やはり、今後の米国市場での売り上げ確保のためには、USスチールを子会社化してインサイダーとなることが重要になる。
トランプ大統領は「過半数に達しなければ株式取得を認める」とのスタンスに変化してきているが、日本製鉄としてはあくまでも完全子会社化を目指している。
そこに関してはまだ大きな認識の開きがある。
配当利回りは4.7%。
一時は5%を超えていた時期もあったが、直近での株価上昇もあり4.7%まで下がってきている。
それでも十分に高い値。
USスチール買収問題がどう転ぶかが分からない点もリスク要因となっている。
そのような状況の中、日本製鉄の株を買っていくのはリスクがあるが、現状の利回りを考えるとリスクを限定して保有を継続するのはありだと考える。