株価チャート
直近では2024年9月の4,400円を天井にして緩やかな下降トレンドを描いている。
1月30日の決算発表後に一時的に値上がりしていたが、再び売り戻されている。
日足チャート
週足チャート
25年3月期 第3四半期決算
決算発表日:2025年1月30日
売上高、営業利益
- 売上収益:9.8%
- 営業利益:86.3%
- 親会社の所有者に帰属する四半期利益:43.5%
- 営業利益率:11.8%
増収増益。
増益幅は大きく、営業利益で86%、純利益で43%と大幅な増益となっている。
営業利益率は11%と一般的な企業の中では高めなのだが、製薬事業ということを考えるともう少し高めであって欲しいところ。
配当
- 配当金:196円
- 株価(2/3):4,120円
- 一株利益:74.68円
- Core EPS:507円
- 配当利回り:4.7%
- 配当性向:262.4%
- 配当性向:38.6%(Core EPS)
配当利回りは4.7%と非常に高い。
一方で配当性向は262%と非常に高く、利益水準に対して過大な配当を拠出していることになる。
本業以外の影響を除外した「Core EPS」で見ると、配当性向は38%まで下がるので、配当原資についてすぐに問題になるという訳ではなさそうだが、ただし注視は必要。
25年3月期 通期業績予想
営業利益
- 通期業績予想:3,440億円
- 第3四半期実績:4,175億円
- 進捗率:121.3%
営業利益の通期業績予想は前年度60%増の3,440億円を予想しているが、第3四半期時点ですでにその目標を超過している。
本決算発表において、通期の売上、利益予想をともに上方修正。
特に営業利益は29.8%、純利益は73.5%と大幅に予想値を引き上げている。
営業利益に関しては「主に米国のVYVANSEの増益影響および研究開発費の節減効果」を反映したとのこと。
損益計算書
売上は前年度比で3,153億円増えているが、売上原価の上昇は1,540億円に抑えている。それだけで1,613億円の増益効果となっている。
それに加えて減損損失が668億円軽減していることもあり、結果として2,000億円近い営業増益につながっている。
営業増益のうち、230億円は為替寄与分となっている。
関連記事
2025/01/31 日本経済新聞
武田薬品工業は30日、クリストフ・ウェバー最高経営責任者(CEO、58)が2026年6月に退任すると発表した。後任は米国事業トップのジュリー・キム氏(54)が務める。ウェバー氏は経営改革に一定のめどをつけたと判断した。キム氏がCEOに就任すれば女性では同社として初めてとなる。
ウェバー氏は24年6月に社長就任10年を迎えた。同氏は長谷川閑史前社長に請われ、14年6月に社長に就任した。武田薬品の歴史の中で迎えた初の外国人社長として注目を集めた。15年にはCEOに就任した。
18年3月期に1兆7000億円程度だった売上高は、19年にアイルランド製薬大手シャイアーを6兆円強で買収したことで、24年3月期には約4兆2000億円まで増加した。売上高は世界の製薬会社のなかで13位で製薬世界大手に近づいた。ウェバー氏のもと海外事業を拡大し、売上高の9割近くを海外で稼ぐグローバル企業に成長した。
武田、ウェバーCEO来年退任 後任は米事業トップ - 日本経済新聞
自社株買い最大1000億円
2025/01/31 日本経済新聞
武田薬品工業は30日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比18%減の1180億円になる見通しだと発表した。従来予想から500億円上方修正する。特許切れの影響が想定を下回ったほか、為替レートの見直しが影響した。また同日、1000億円を上限とする自社株買いも発表した。
まとめ
第3四半期の決算結果は増収増益。
本決算発表時に通期売上、利益予想をともに上方修正。上方修正後においても、すでに第3四半期時点で営業利益の通期予想を超過する利益をあげている。
24年3月期は大きく業績が落ち込んでいたが、25年3月期はその落ち込みから回復してきている。
CEOがウェバー氏からキム氏に代わるとのこと。
同社では初めての女性CEOとなる。
シャイアー買収は、それによって財務が大きく棄損したこともあり賛否があったと思うが、結果として売上規模は大きく伸ばすことができている。
その点はウェバー氏の大きな実績といったところなのだろう。
配当利回りは4.7%と高い値となっている。
問題は配当性向。この配当水準がどこまで継続できるのか、それほど楽観視はできない。
株を保有するにしても、業績の動きは注視し、また保有株数にしても過大にすることはなくリスクを限定していったほうがよさそう。