知識蓄積ノート【投資・FIRE】

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㉚セミリタイアについての基本的な考え方:メーカー中途採用への応募(私が退職することが、対外的に発表される)

 

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発表

 
確か、私が退職することが対外的に発表されたのは退職まで2週間程度と差し迫ったような時期だった。
 
その当時私が「ユニットリーダー」として開発に携わっていた新機種は、毎週「製品定例」のような会議体があった。そこで各ユニットリーダーが自分が受け持っているユニットについての進捗報告と、他部門に対する情報共有、依頼事項を話し合うような会議だった。
そもそも私はそのような会議で発言するのが苦手だったし、ある時期から担当しているユニットで色々と問題が発生しており、評価もうまくいっていないような状況にもなっていたので、その毎週の会議は本当に憂鬱以外の何物でも無かった
 
 
 
その会議体の中で、私が退職し、Aさんが後を引き継ぐことが発表された。
もしかしたらその会議を取り仕切っていた製品リーダーには、私が辞めることは裏では伝わっていたのかもしれない。あるいは、製品リーダー以外の関係者にも漏れていたのかもしれない。そのような噂はどこからとなく漏れるものだ。
 
「そうなんだ・・・。辞めるんだ・・・」
 
誰も言葉にはしなかったけど、そのような空気がその会議質の空間を漂っていたように感じた。
 
私がそのユニットリーダーとして苦しんでいることは、当然、その会議に参加しているメンバーは大分前から知っていた。だから、私が辞めるということ自体に別に驚きは無かったのかもしれない。それよりは、どこか、
 
「逃げるなんて、卑怯者のすることだよ・・・」
 
という冷たい目が彼らにはあったように思う。
 
だけど別に私は卑屈に思うことは全くなかった。
 
 
私を退職に追い込んだのは、この場所そのものでしょ・・・
 
そのくらい、その当時の仕事に、私自身が本当にうんざりしていた。
 
 
 
 
 

最期の挨拶

 
出社最終日、私は上司のN氏から、
 
「昼例のときに、最後の挨拶をしてもらえますか?」
 
と打診されていた。会社を辞める人は最後の挨拶をするというのが通例になっていたので、さすがにそれは避けられない。私は大勢の部署の同僚がいる前に立ち、口を開いた。
 
進む方向を変えようという思いがあり、退職することにしました
 
その当時の本当の想いをシンプルに率直にしゃべっていた。
 
その昼礼の後、試作機の評価を手伝ってもらっていた再雇用の社員(定年後に社員によっては再雇用として簡単な仕事をしている人たちがいた)が私に近づいてきて、妙に明るい顔で、
 
「こういうことだったんですね」
 
と言われた。そのとき、その再雇用の社員は私が退職することをその時まで知らなかったのだと、知った。私は苦笑いを顔に浮かべながら、
 
「はい・・・」
 
とだけ答えた。
 
 
 
 
終業時間が来る前の時間を利用して、私が前に所属していた部署に顔を出した。
 
正直その部署の仕事においても「苦しかった・・・」という思いしかなかったけど、この会社に出社するのも最後だし、簡単に挨拶をしておこうとだけ思ったのだ。元上司の人に簡単に、「今日が最終出社日です。お世話になりました」と頭を下げる。彼は、
 
「〇さんは、私は頼りにしていたんだよ」
 
と私に言った。また、別のリーダーの人にも簡単に挨拶をする。その時どのような会話を交わしたのか、正直細かくは覚えていない。ただ、最後の別れ際に彼が右手を差し出してきたので、私はその手を握って握手をした。その彼の私の右手を握る手が、妙に力強かったのを今でも覚えている。