情報を積極的に操作すること
世の中には数多くのデータや情報があふれている。
だけど、それらは私たちの目の前をただ通り過ぎているだけで、それらの本当の意味を中々理解できない。そのデータや情報の裏の仕組はある意味ではブラックボックスになっていて、私たちはその最終的な結果だけを目の前に突き付けられている。ある意味ではそれは効率的なやり方なのかもしれない。人々は毎日を忙しく暮らしていて時間を確保できない。だから最終的な結果だけを知るというやりかたもうなずける。
だけど、それによって、そのデータや情報の本当の意味を理解せずに表層的な知識だけを頭に入れても、それをどれだけ有効に活用できるのだろうか。
アメリカの公立学校では、高度なソフトウェアを使って各児童の成績と日常生活を追跡調査していた。
そのデータは集積され、児童一人一人の個人ウェブサイトとして構築されていた。教師はその情報をチェックすることによって、各児童がどのような支援を必要としているかを知ることができるようになっていた。
だけど、ある小学校では、そのシステムを導入してもいっさいなんの変革も見られなかったという。
そこでその小学校では「エレメンタリー・イニシアティブ(EI)」と呼ばれるシステムを導入した。それによってその小学校は劇的に改善したという。
このEIの最大の特徴は、教員たちが複雑なデータ処理装置やソフトウェアのことは忘れて、自分の手で情報を処理するようにと命じられたことだった。
情報を知識に変える *1
教師たちは、たんに情報を受け取るのではなく、情報を積極的に操作することを求められたのだ。
EIが成功したのは、教員たちが、受動的にデータを受け取るのではなく、それを「非流動的」にした、つまり流れにくくしたからだ。そうなると最初は処理しにくいが、ひとたびそれを理解すれば定着しやすい。統計を手で書き出したり、自分の先入観を反省したりすることで、教員たちは自分たちの受け取った情報をどう利用したらいいかを体得したのである。
自分の手を動かして試してみること
世の中に溢れている多くのデータや情報。
それらのデータや情報を、本当の意味での自分自身の知識とすること。
おそらくそのためには、「自分の手を動かして試してみること」が意外と重要なのかもしれない。
ただ単に教科書を読むだけでは知識は身につかない。問題集で実際に自分の手を使って多くの問題を解いてみることによって初めて自分自身の知識として身につく。本を読むだけではそれは知識として身につかない。その知識を実際に自分自身の行動として実行してみることによって初めて自分自身の知識として身につく。
そういうものなのかもしれない。
*1: あなたの生産性を上げる8つのアイディア チャールズ・デュヒッグ 著