デジタル文化は「読む脳」をどう変える?
子どもの頃、家にグリム童話の全集があった。
それが私の読書についてのスタート地点だった。
子供の頃の私は周りとうまく協調することができない人間だったのだけど、物事のつながりを人よりも少しだけ早く、そして深く掴むことができた。
それは、今になって思えば「本を読んで、色々な文字知識のつながりを結びつける訓練を積んだこと」が一つの要因だったようにも思う。
デジタル文化は「読む脳」をどう変える?*1
・人類は誕生時から字を読めたわけではない。読み書き能力の獲得は、ホモ・サピエンスの遺伝子を超越した最も重要な功績の一つ
・読字を学習する行為は、ヒトの脳のレパートリーにまったく新しい回路を加えました。
・読字学習の長い発展のプロセスは、その回路の接続構造そのものを深く十分に変化させ、そのおかげで脳の配線が変わり、人間の思考の本質が変容しました。
・読字はわずか6000年のあいだに、個人および文字文化の知的発展にとって変革の触媒になりました。
文字を書き、その文字を読む。
それによって知識を蓄積し、そして周りに伝達していく。
そのようなことをする生物は人間しかない。
そしてその読字という文化は、人類が発生して500万年の歴史の中のわずか6000年前に生まれたという。
読字という能力はもともと人類の遺伝子に組み込まれていない能力であり、そしてその能力を獲得し深化していく中で脳の構造自体も作り変えてきた。
もしそうだとしたら、文字を読まないということは、ここまで人類を発展してきた能力を放棄するという行為でもあるのだろうか。
*1: デジタルで読む脳×紙の本で読む脳 メアリアン・ウルフ 著