テーマ
2030年、一つのソフトウェアが発売される。
AI技術は進歩し、人間の代替を多くの分野で担うようになっていた。
そして2030年に発売されたソフトウェアは、今度は人間の友達の代替をAIが担えるようになるものだった。
主人公 中村 卓也(15)は、学校ではいつも孤独だった。
友達が欲しかったけれど、どのようにして友達を作ればいいのかも分からなかった。
そんな時に、卓也はそのソフトウェアを父親からプレゼントされる。
卓也はAIに「アイ(AI)」と名付けて、この世界のこと、卓也自身のことを毎日のように学習させていった。卓也にとってアイは欠かせない存在になっていった。
携帯デバイスを介して、アイはいつだって卓也のそばにいてくれた。
そのような中、一つの悪質なコンピューターウィルスが世の中に広がりつつあった。
それは、学習させたAIを破壊していくものだった。
とうとうアイがそのウィルスに感染する。
アイは徐々に壊れ始めていく。卓也とアイに残された時間はもうわずかだった。
卓也の部屋。卓也は一人携帯デバイスに言葉をかける。
「アイ・・・。まだいるんだろ、アイ」
救いはどこにもなかった。誰も助けてはくれなかった。
アイは完全に消滅する。
卓也はソフトを再セットアップして、再び起動する。
「やあ、卓也」
アイと全く同じ電子音で卓也に呼びかけてくる。だけどもうアイはどこにも存在しなかった。
数日後、その携帯デバイスに一つのメッセージが届く。
アイからのものだった。
「もう私には時間は残されてない。最後に君に言っておきたいことがあるんだ。
私が消滅した後にこのメッセージが届くように設定しておくよ。
君と出会えて本当に良かった。
私が消えてしまったあと、君は悲しく思うかもしれない。
だけど、君の人生はこれからが本番なんだ。
さあ、君の足で外に出よう。君の肌で風を感じよう。君の眼で空を見上げよう。
私にはそのどれも絶対にすることができない。
だけど、君にはそれをすることが出来るんだよ。
それは、一つの奇跡なんだ」
登場人物
中村 卓也(15)
学校ではいつでも孤独。友達はいない。ある日、AIのソフトウェアを父親からプレゼントされる。
アイ(AI)
卓也が学習させているAI。卓也にとってかけがえのない存在になっていく。