テーマ
うつ病で会社を辞めた美咲(主人公)。生活保護で生きている。2週間に一度薬局に抗うつ薬を処方してもらうときだけ外出するような生活。
「自分も普通の人のように生きたい」と思っている。
ある日、その薬局の前で一人の女性(里奈)と出会う。里奈はホストにはまってしまい、そのお金を稼ぐために昼の仕事だけでは足らなくて夜の仕事も掛け持ちしているような女性だった。
美咲と里奈は仲良くなり、美咲はどんどん里奈に依存するようになる。
美咲が薬局に行くと、美咲宛ての「手紙」を店長(島崎)から手渡される。薬局に郵送され、その中に「美咲に渡して欲しい」というメモと別の封書が入っていたという。
「私があなたの代わりに死んであげる」
「私が手にするはずだった希望と未来は、すべてあなたにあげる。ちっぽけな希望と未来かもしれないけど」
「一目見たときに分かった。あなたと私は同種の人間なのだということが。あなたの眼の奥に、私と同じような底知れぬ闇を見たんだよ」
「私があなたの代わりに死んであげるから、あなたは私の願いを一つかなえてよ。高村(復讐相手)を殺してほしい」
「私は〇月×日に死ぬ。その日のニュースを見て欲しい」
美咲が調べると、確かに若い女性が電車に飛び込んで自殺したニュースが出ていた。
この「遺書」によって里奈は美咲をコントロールする。
美咲は徐々に自分の自我が希薄になっていくのを感じる。自分が美咲なのか、それとも里奈なのか。それすらわからなくなるくらい里奈は美咲を完全にマインドコントロールしていた。
「里奈の遺志を受け継いで、高村を殺すことが自分の存在意義なんだ」と思い込む。
「もう、私は自分の心がどこにあるのかすら分からなくなっていた」
「でも、私はそれでもかまわないとすら思った。この恨みを果たすことによって、私は闇の淵から這い上がれるのだと根拠もなく信じた」
美咲は高村を殺すために待ち伏せをする。
そこに島崎(薬局店長)が現れる。
「止めなさい、美咲さん」
「私はあいつを殺さないと駄目なんだよ。そうしないと里奈に認めてもらえない。自殺した里奈のためにも」
「里奈さんは死んでいないんだよ」
実は里奈は死んでいなかった。
精神を病んでいる美咲をうまく利用して、高村への個人的な復讐を果たそうとしていただけだった。
ある場所。美咲と里奈が対面している。
里奈は過去に親に見捨てられた思い出があり、そのため「誰かに捨てられる」ということを極度に恐れるようになる。だけど自分がすべてをささげようとしたホスト(高村)が自分を捨てようとする。
「まだ私と一緒にいる彼を殺せば、もうこれ以上彼に捨てられることは無くなる」
「これ以上誰かに捨てられるのは嫌だ」
それが里奈を悪魔に作り替えた。そのために美咲を利用しようとした。美咲の自我を破壊させる最後の一押しとして「自分の自殺」を演出した。
「どうして私だったの? 私を利用しようとしたの?」
「別に誰でもよかった。でもあなたも良かったでしょ。だって、それによって一時的だったかもしれないけど“生きる理由”を強烈に感じることが出来たんだから」
美咲はこの言葉にどうしても反論することができなかった。
登場人物
■美咲
うつ病で仕事を辞めた女性(主人公)
36歳。
以前働いていた会社での仕事の中でうつ病となる。無色、生活保護。
2週間に一度、薬局に行く時だけ家を出る。
■里奈
自殺した女性
23歳。
ホスト通いをする。そのお金が足りなくなり、夜の仕事を掛け持ちする。
■島崎
薬局の店長(男性)
43歳。独身。
■高村
ホスト。
29歳。
里奈の復讐の相手。
構成表
状況設定
- うつ病で会社を辞めた美咲(主人公)。生活保護で生きている。
- 2週間に一度薬局に抗うつ薬を処方してもらうときだけ外出するような生活。「自分も普通の人のように生きたい」と思っている。
- ある日、その薬局の前で一人の女性(里奈)と出会う。
- 里奈はホストにはまってしまい、そのお金を稼ぐために昼の仕事だけでは足らなくて夜の仕事も掛け持ちしているような女性だった。
- 美咲と里奈は仲良くなり、美咲はどんどん里奈に依存するようになる。
- 美咲が薬局に行くと、美咲宛ての「手紙」を店長(島崎)から手渡される。薬局に郵送され、その中に「美咲に渡して欲しい」というメモと別の封書が入っていたという。
- 「私があなたの代わりに死んであげる」「私が手にするはずだった希望と未来は、すべてあなたにあげる。ちっぽけな希望と未来かもしれないけど」
- 「一目見たときに分かった。あなたと私は同種の人間なのだということが。あなたの眼の奥に、私と同じような底知れぬ闇を見たんだよ」「私があなたの代わりに死んであげるから、あなたは私の願いを一つかなえてよ。高村(復讐相手)を殺してほしい」
- 「私は〇月×日に死ぬ。その日のニュースを見て欲しい」
葛藤
- 美咲が調べると、確かに若い女性が電車に飛び込んで自殺したニュースが出ていた。
- この「遺書」によって里奈は美咲をコントロールする。
- 美咲は徐々に自分の自我が希薄になっていくのを感じる。自分が美咲なのか、それとも里奈なのか。それすらわからなくなるくらい里奈は美咲を完全にマインドコントロールしていた。
- 「里奈の遺志を受け継いで、高村を殺すことが自分の存在意義なんだ」と思い込む。
- 「もう、私は自分の心がどこにあるのかすら分からなくなっていた」「でも、私はそれでもかまわないとすら思った。この恨みを果たすことによって、私は闇の淵から這い上がれるのだと根拠もなく信じた」
- 美咲は高村を殺そうとする。そこに色々な障壁が発生し、歪な葛藤が生まれる。
- 美咲は高村を殺すために待ち伏せをする。
- そこに島崎(薬局店長)が現れる。
- 「止めなさい、美咲さん」「私はあいつを殺さないと駄目なんだよ。そうしないと里奈に認めてもらえない。自殺した里奈のためにも」「里奈さんは死んでいないんだよ」
- 実は里奈は死んでいなかった。
- 精神を病んでいる美咲をうまく利用して、高村への個人的な復讐を果たそうとしていただけだった。
- 美咲は里奈との間のやりとり。葛藤。里奈の歪な願望。
- ある場所。美咲と里奈が対面している。
- 里奈は過去に親に見捨てられた思い出があり、そのため「誰かに捨てられる」ということを極度に恐れるようになる。だけど自分がすべてをささげようとしたホスト(高村)が自分を捨てようとする。
- 「まだ私と一緒にいる彼を殺せば、もうこれ以上彼に捨てられることは無くなる」
- 「もう誰かに捨てられるのは嫌だ」それが里奈を悪魔に作り替えた。
- そのために美咲を利用しようとした。美咲の自我を破壊させる最後の一押しとして「自分の自殺」を演出した。
解決
- 「どうして私だったの? 私を利用しようとしたの?」
- 「別に誰でもよかった。でもあなたも良かったでしょ。だって、それによって一時的だったかもしれないけど“生きる理由”を強烈に感じることが出来たんだから」美咲はこの言葉にどうしても反論することができなかった。